スナーク号

スナーク号の航海

スナーク号の航海 (20) - ジャック・ロンドン著

というわけで、ぼくがどうやって天文航法を独学したか簡単に説明しよう。ある日の午後ずっと、ぼくはコクピットに座り、片手で舵をとりながら、もう一方の手で対数の本をめくって勉強した。それからの二日間、午後二時間を航海術の理論、とくに子午線高度の勉...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (18) - ジャック・ロンドン著

第4章到着「でも」と、ぼくらの友人が異議を唱えた。「航海士を乗せないで、よく航海に出られるな? 君は航海術を知らないんだろ?」ぼくは、自分が航海術を知らないこと、人生で一度も六分儀をのぞいたことがないこと、天文暦で緯度経度を割り出せるか自信...
スナーク号の航海

スナーク号の航海(17) - ジャック・ロンドン著

さらに「五フィート(百五十センチ)ちょっと」の小柄な男からの手紙がこれだ。「あなたが夫人と一緒に小さな船で世界一周されるという勇敢な計画の記事を読み、自分自身が計画しているみたいでとてもうれしくなりました。それで、コックか給仕のどちらかにな...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (16) - ジャック・ロンドン著

志願者の大半が少年だと思ってもらっては困る。逆に、割合でいうと少年は少数派だった。人生のあらゆる段階の人々、つまり老若男女の志願者がいた。内科医、外科医、歯科医も大挙してやってきたし、そんな専門家すべてがどんな役割でもやるし、自分の専門領域...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (15) - ジャック・ロンドン著

第3章冒険 いや、冒険は死んではいない。蒸気機関やトマス・クック・アンド・サンのような旅行会社ができる世の中であっても、だ。スナーク号の航海計画が公表されると、年配の男女は言うまでもなく、「放浪気質」のある若い男女たち大勢が志願してきた。ぼ...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (14) - ジャック・ロンドン著

サンフランシスコのボヘミアン・クラブには、何人かのベテランのヨット乗りのうるさがたがいた。なぜ知っているかといえば、スナーク号の建造中に連中がケチをつけたと聞いたからだ。スナーク号には一つだけ致命的な問題があるということだった。これに関して...
スナーク号の航海

スナーク号の航海(13) - ジャック・ロンドン著

とはいえ、またも信じられない、ひどい事件が鎌首をもたげた。なんとも不可解で、ありえない事態だ。信じたくもない。メインセールをツーポンリーフし、ステイスルをワンポンリーフしたのだが、スナーク号はヒーブツーしてくれないのだ。ぼくらはドラフトが浅...
スナーク号の航海

スナーク号の航海(12) ジャック・ロンドン著

そこで、時間もお金もかけた、水密で頑丈なコンパートメントの出番なのだが──結局、これが水密ではなかったのだ。浸入した水は空気のように部屋から部屋へと移動した。おまけに、コンパートメントの背後から強いガソリン臭がしたので、そこに貯蔵していた六...
スナーク号の航海

スナーク号の航海(11) ジャック・ロンドン著

もっと悪いことに、スナーク号が告発されたのは土曜の午後だった。ぼくは弁護士や代理人をオークランドとサンフランシスコに派遣したが、合衆国の判事はおろか保安官も売主一同氏も売主一同氏の弁護士も見つけられなかった。週末なのでみんな出かけていたのだ...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (10) ジャック・ロンドン著

これはおそろしく厄介で、造船所ではなく海難救助業者の仕事だった。二十四時間に二度、満潮になる。夜だろうが昼だろうが満潮になるたびに、二隻の蒸気船のタグボートがスナーク号を引っ張った。スナーク号は水路と水路の間に沈み、船尾を下にして着底してい...