スナーク号の航海

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スナーク号の航海

スナーク号の航海 (56) - ジャック・ロンドン著

精神疾患の専門家の一人が、彼をターボル山の療養所に運んだ。彼が無害だとわかると、そこでは好きにさせてくれた。何を食べろとか指示されなかったので、彼は果物と木の実――それにオリーブオイルやピーナツバター、バナナを中心にした食事を再開した。体力...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (55) - ジャック・ロンドン著

「じゃあ、あんたも本を書いてるわけだ」と、彼は言った。ぼくは苦心して朝の分の執筆を終えたところだった。「俺も本を書いてんだよ」と、彼は告げた。おいおい、こいつの書いた物の面倒までみなきゃなんないわけかよ、とぼくは思った。イラッとした。文壇ご...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (54) - ジャック・ロンドン著

第十一章自然人ぼくがはじめて彼に会ったのはサンフランシスコのマーケット・ストリートだった。霧雨の降る午後、彼は膝までしかない丈の短いズボンをはき、シャツの袖をまくって、ぬかるんだ歩道を裸足ですたすた大股で歩いていた。足元は二十人もの浮浪児が...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (53) - ジャック・ロンドン著

ホオウミは小さな谷で、タイピー渓谷とは低い尾根で分けられている。ぼくらは言うことをきかない馬にさんざん手こずった末に、尾根のこちら側から出発した。一マイルほど進んだところで、ウォレンの馬がよりによってこの細い道で一番危険なところを選んだもの...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (51) - ジャック・ロンドン著

南太平洋の島々の住民すべてのうちで、マルケサス諸島の人々が最強で、最も美しいとみなされていた。メルヴィルは彼らについて「とくに体の強さと美しさに強い印象を受けた…。姿態の美という点では、これまでに見たどの民族よりもすぐれている。体に自然にで...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (51) - ジャック・ロンドン著

ぼくらは馬に乗り、黄色い花粉をつけた桂皮が繁茂している、無限にも思えるやぶの海を進んでいった。ともかくも馬の背中にしがみついてはいるのだから、馬に乗っていると呼べるだろう。この茂みは香りが強くて、ススメバチが住み着いていた。なんというハチだ...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (50) - ジャック・ロンドン著

それから長い年月を経ているし、のびたブタを食するというようなことを目撃する機会はないだろうと思っていたのだが、少なくともぼくはすでに、形状は楕円で、奇妙な彫りこみがなされた、百年も前に二人の船長の血を飲むのに使われていた、マルケサス諸島の正...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (49) - ジャック・ロンドン著

朝になって目がさめると、ぼくらはおとぎ話の世界にいた。スナーク号は、巨大な円形競技場のようになった、外洋から切り離された穏やかな港に浮かんでいた。見上げるように高い岩壁はツタにおおわれ、海からそのままそそりたっていた。はるか東には、壁面をこ...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (48) - ジャック・ロンドン著

第十章タイピー東の方にあるウアフカ島は、あっという間にスナーク号に追いついてきた夕方の豪雨でまったく見えなくなった。だが、ぼくらの小さな船はスピンネーカーに南東の貿易風を一杯にはらませて快適に進んだ。ヌクヒバ島の南東端にあるマーチン岬を真横...
スナーク号の航海

スナーク号の航海 (47) - ジャック・ロンドン著

ぼくらは東へと進み、赤道無風帯を通過して南下し、南西からのいい風を捕まえた。この風では詰め開きで風上に向かえば、はるか西にあるマルケサス諸島にもたどりつけるだろう。だが、翌十一月二十六日、火曜日、すごいスコールが襲来し、風がいきなり南東に変...
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