現代語訳『海のロマンス』70:練習帆船・大成丸の世界周航記

米窪太刀雄(よねくぼ たちお)著

夏目漱石も激賞した商船学校の練習帆船・大成丸の世界周航記。
若々しさにあふれた商船学校生による異色の帆船航海記が現代の言葉で復活(連載の第70回)
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「ハハア、そう憤慨するなよ。とかく日本の役所は税制整理とか制度整理とかいって表面づらはきれいで、帳面尻(ちょうめんじり)は合っても、内容はからっぽじゃ。表は西陣(にしじん)や錦繍(にしき)を着ていても裏はつぎはぎだらけか……ハッハッハ」

「口先ばかりは、国民膨張の先駆けだとか、海運界の責任は諸君の双肩にありとか、熱心なる海事思想の鼓吹者たれとか、やれ無冠の外交官だとかいっておきながら、旅費を減額されて、立派な外交官が目的地へも行かれず片田舎の木賃宿(ボクチンホテル)に転がっているしだいか……ヤレヤレ」

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