ジョン・マクレガー著
現代のカヤックの原型となった(帆走も可能な)ロブ・ロイ・カヌーの提唱者で、自身も実際にヨーロッパや中東の河川を航海し伝説の人となったジョン・マクレガーの航海記の本邦初訳(連載の第90回-最終回)
そして今、漕いだり帆走したりしてヨーロッパの大河を旅してきた一千マイルの最終日、もやいを解き、カヌーに乗りこんだ。旅の終わりがこれほど早く来るとは思っていなかったので、どこかさびしい気持ちもあった。
それで、川のせせらぎを聞きながらセーヌ川に入ったところで上陸した。カヌーは川に浮かべたまま、涼しい木陰で横になった。都会の喧騒(けんそう)が近くに聞こえる。パリはもうそこだ。