一口に帆船やヨットの帆(セイル)といっても、いろいろな種類があります。
ここで簡単に整理しておきましょう。
1. 帆の形状による分類
2. ヨットのリグ(艤装)による分類
1.帆の形状による分類
まず、帆船で必ず出てくるのが縦帆と横帆ですね。
登場した順にいうと、まず横帆になります。
これはその名の通り、水平に渡した横木(帆桁 ほげた)から四角の帆を下げたものです。
お正月の宝船や江戸時代の千石船のイメージですね。
複数のマストを持つ大型の「帆船」では、この横帆(後には縦帆も組み合わされるようになる)が高いマストにそって何段も積み重なるように使われていて、それぞれに呼び名がありますが、ここでは割愛します(あらためて別項で説明します)。
こうした横帆は風下に向かうのには適していますが、風上に向かうのは苦手です。
ですから、千石船の時代には「風待ち港」なるものが存在していました。
風上への切り上がり性能を改善するために生まれたのが縦帆です。
縦帆は、垂直かそれに近い角度の帆柱(マスト)や支索(ステイ)に帆の前縁を固定したもので、現代のいわゆるヨットの帆は、ほとんどすべてがこれです(マルコーニ・リグとかバミューダリグとも呼ばれます)。
縦帆でも横帆のなごりがあるのがガフ・リグです。ガフは帆の上縁を張るための帆桁のこと。
この帆は変形の四角形をしていて、前縁をマストに固定し、上縁には帆桁(ほげた)がついています。
古いタイプのクルーザーヨットや、ジュニア用のディンギーであるOP(オーピー)級などで現在も使われています。
変わり種の帆
ラティーン・リグ(大三角帆)
アラブ世界や地中海周辺で発展し普及していました。
これに似た形状の帆(バリエーション?)は南太平洋など各地で見られます。
クラブクロー(直訳すると、カニのはさみ)
上下に帆を張る棒がついていて、東南アジアでよく見られます。
ジャンク・リグ
中国で発達した帆。変則的な横帆で、縮帆しやすいように帆に水平のバテンが取り付けられています。
上の写真は、ジャンク・リグのヨット、バジャー号です。
英国人女性アニー・ヒルの著書 “Voyaging on a small income”(金持ちでなくても工夫しだいで航海はできる 邦訳なし)の表紙から。
この本が出版された時点で、彼女は大西洋横断10回、グリーンランドから南米まで、地球を何周分も航海しています。
ヨットのリグ(艤装)による分類と名称
キャット・リグ
マスト 1、 帆 メインセイル1枚
スループ・リグ
マスト 1、 帆 メインセイル+前帆(ジブ)
カッター・リグ
基本的にスループと同じで、前帆を2枚同時に展開できる。
ケッチ・リグ
マスト 2。 前(メインマスト)が高く、後ろ(ミズンマスト)は低い。ミズンマストが舵軸の前。
ヨール・リグ
マスト 2。ミズンマストは船尾(舵軸の後ろ)。
スクーナー・リグ
マスト 2。後ろ側のマストが高い。
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