過去の海の冒険だけでなく、現在進行中の冒険についても取り上げる予定で以前から準備を続けていましたが、このところの新型コロナウイルスの流行の広がりで中止が相次ぎ、なかなかきびしい状況ですね。
そこで、外観はほとんど変わりませんが、サイトの内容について今後は「海の冒険に関する名著の紹介」と実際に冒険を楽しむための基礎的な知識や技術について取り上げていきます。
8月5日現在、どうも状況は改善されていないようです。
オンデマンド出版担当企業からの報告は下記のようになっています。
=========引用開始=========================
【重要】Amazon販売レポート不具合について
7月29日に報告しておりますAmazon販売レポートの不具合ですが、弊社が検証したところ、本日8月5日現在も当該修正は完了していない状況です。
Amazonには修正完了の見通しについて問い合わせていますが、現時点では明確な回答をいただいておりません。
=========引用終わり=========================
こちらとしては打つ手がない状況ですね。
オンデマンド出版は1部から印刷製本して出版されるため、どうしても割高になりますし、さらに『海のロマンス』は通常の単行本2冊分程度の分量があるため、かなり高額になってしまいます。
電子書籍は費用対効果が高いので、こちらでお楽しみください。
アマゾンでのオンデマンド出版(POD)関連のトラブルについて、Amazonから関係会社にシステム変更を原因とする不具合で、「7月末頃を目途に問題の修正が完了する見込み」と連絡があったようです。ご迷惑をおかけしますが、今しばらくお待ちください。
米窪太刀雄著『海のロマンス――練習帆船大成丸の世界周航記』(現代表記版)の電子書籍版は7月18日(海の日)に発売されました。
オンデマンド出版用の関係ファイルも提出済みで、紙本については本日7月28日発売の予定でした。
が、アマゾンのキンドルと連動したオンデマンド出版のシステムトラブルのため、現在「原因調査中」で、発売時期は未定となっています。
先月から少なくない書籍で販売実績があるにもかかわらず売り上げゼロやマイナスのデータが報告されるというトラブルが生じていたのですが、今月下旬になって、それが世界的に発生していると判明したようです。結構深刻な問題のようで、長引くかもしれません。
この件については、進展がありしだい改めてご報告いたします。
帆船の本、ヨット航海記の本とくれば、次はカヌー/カヤックの本ですね。
この分野では、今年亡くなった野田知佑(のだともすけ)の著作が質量ともに群を抜いています。
彼のカヌー関係の本や雑誌の記事は、登山が中心だった日本のアウトドアシーンのイメージをがらりと変え、カヌーでの川下りや犬をつれて旅することが、今では違和感なく受け入れられるようになってきています。
というわけで、今回は彼の著作リストです。
どうでしょうか、この数。
雑誌連載が主ですが、水に限らず冒険やアウトドア系で、これだけ多作な作家は他にいませんね(それだけ、出せば売れるという評価が定着しているということでもあるのでしょう)。
ヨットの航海記の紹介も4回目。
小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記です。
絶版になったものや電子書籍として復活してきたものなど、さまざまですが、本の一生も人の一生と同じで、思いがけない出会いや予想もできなかった展開になることもあります。
ヨットの航海記
・『太平洋へ行こう』徳間順一著、創英社/三省堂書店
・『続 太平洋へ行こう』徳間順一著、創英社/三省堂書店
・『アラウンド・アローン』白石康次郎著、文藝春秋
・『ヨット・キザッペの日本周航』奥原一美著、アルゴ企画
・『極楽とんぼ、大西洋を渡る』中島正晃著、舵社
・『タニア18歳、世界一周』タニア・アービィ著、新潮社
・『大航海』アミール・クリンク著、文藝春秋
・『ヨーロッパ運河ヨットの旅』田中憲一著、新潮社
・『たのむぞ!欧美号』舩木匡著、自費出版
・『二人だけのヨット旅行(上)(下)』神田真佐子著、舵社
・『コックピットのひとりごと』村上由香著、河出書房新社
番外編として、ヨットに関連する遭難や漂流の(実験を含む)記録
・『ヨットが呑まれた』朝日新聞社会部著、朝日新聞社
・『アカリ号の実験』八巻英輔著、二見書房
・『実験漂流記』アラン・ボンバール著、白水社
・『大西洋漂流76日間』スティーヴン・キャラハン著、早川書房
・『ザ・サバイバル』平島正夫著、リヨン社
・『たった一人の生還』佐野三治著、新潮社
で、そうならないためのシーマンシップに関連した本がこちら
・『アナポリス式シーマンシップ』ジョン・ロスマニエール著、鯨書房
・『海図の読み方』沓名義/坂戸直輝著、舵社
・
『ヨットマンの航海術』鈴木邦裕著、海文堂
・『クルーザー教室』関根久著、舵社
・『インナーセーリング』青木洋著、舵社
・『プレジャーボートのためのGPSナビゲーション』高槻和宏著、舵社
・『スピン・ナ・ヤーン』野本謙作著、舵社
・『プレジャーボーティン具のための気象ハンドブック』馬場邦彦著、舵社
・『海の信号旗』杉浦昭典著、舵社
・『海の交通ルール』鈴木三郎著、舵社
小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記の紹介の3です。
絶版になったものや電子書籍として復活してきたものなど、さまざまですが、本の一生も人の一生と同じで、思いがけない出会いや予想もできなかった展開になることもあります。レースの参戦記もあれば、のんびり沿岸航海の旅もあり、ヨーロッパの運河を旅する本もあります。
入手困難なものほど、手に入れたときの喜びも多くなります。
図書館や古書店めぐりという「本の海での冒険」を楽しみましょう。
堀江謙一さんの著作については別途まとめてありますので、こちらをご覧ください。
ヨットの航海記の2です。
ここで紹介するのは、小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記です。
絶版になったものや電子書籍として復活してきたものなど、さまざまですが、本の一生も人の一生と同じで、思いがけない出会いや予想もできなかった展開になることもあります。
入手困難なものほど、手に入れたときの喜びも多くなります。
図書館や古書店めぐりという「本の海での冒険」を楽しみましょう。
(まだまだ続きます)
その1はこちら
かつて昭和の時代の日本では、ヨットの航海記といえば、各出版社が競って出版していた花形ジャンルの一つでした。
海が未知のフロンティアではなくなった現代、冒険航海の本も「最高齢」「最年少」「世界初」といったキャッチフレーズがなければ、なかなか受け入れてもらえず、出版されることもまれになってきました。
これからは何をしたかではなく、つまり、単に体育会系の「やったぜ、俺」的なものではなく、「何を感じどう思ったか」という、時代をこえて普遍的に価値のあるものをどう伝えるか、が重要になってくるでしょうね。
ここで紹介するのは、小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記です。
絶版になってすでに入手困難なものも多いのですが、図書館や古書店で探すという「本の海での冒険」としての楽しみもありますよ。
堀江謙一さんが83歳で太平洋横断に成功しました。
日本のヨットをめぐる状況は、1962年の堀江さんによる単独太平洋横断成功をきっかけに劇的に変化しました。
というわけで、堀江謙一さんに敬意を表して、堀江さんのヨット関連の本をご紹介しておきます。
ヨットによる航海記は非常に多いので、他のヨットマンの航海記は後日、改めて紹介します。
堀江さんの本の特徴の一つは、いっったん絶版になった後も、再版、復刻、児童向けなどで複数の出版社から版を改めて刊行されているものが多くあることです。
それだけ冒険航海の価値が認められている(「日本初/日本人初」という冠がつく航海が多い)ということでしょう。ここに記載したのは初刊行時のデータです。
●『太平洋ひとりぼっち』 文藝春秋
1962年、全長17フィート(6メートル弱)の合板製ヨット、マーメイドで日本人初の単独太平洋横断に成功した23歳のときの航海記。
●『マーメイド三世 : 単独無寄港世界一周』 朝日新聞社
1974年の日本初の小型ヨットによる単独無寄港世界一周の航海記。
前年のマーメイドIIでの東まわり世界一周の失敗後、マーメイドIIIで再挑戦して成功したときの西まわり世界一周の航海記。貿易風に逆らう西まわりの方がはるかに難易度が高いとされる。
この後、2004年に東まわりでの世界一周にも成功。東西両まわりで世界一周に成功したのは日本人初、世界でも二人目。 続きを読む
『現代語訳 海のロマンス』の連載は終了しましたが、帆船に興味を感じた方に、さらに帆船にまつわる本をご紹介します。
今回は「フィクション」編です。
まずは児童文学の名作から
いわずとしれた「つばめ号とアマゾン号」シリーズの一冊。フリント船長と子供たちが乗り組んだ二本マストのスクーナー・ヤマネコ号での、宝探しをめぐる冒険航海。読み進むうちに、帆船の操法をマスターしてしまったような気になる本。
帆船全盛時代、中国からの新茶を積んだクリッパー船(高速帆船)での英国までのレースを舞台にした物語。汽船と衝突しボートで脱出したブラック・ゴーントレット号の乗組員たちは、無人で漂流していた謎に包まれているニワトリ号に乗り移り……
ここからは海の男たちの骨太の物語を
「野生の呼び声」などアラスカもので知られるジャック・ロンドンは、十代でアザラシ猟の漁船に乗り組んだ体験を持ち、それを元に想像力豊かに海の狼ラーセン船長とゴースト(幽霊)号の物語を描き出す。海洋文学の傑作。
スペイン無敵艦隊を破った英雄ドレークの艦隊で操舵手をつとめ、時代を超えて生きるマシュー・ローの目から見たオムニバス形式の物語。十六世紀から二十世紀後半までの十五話(全三巻)。
カナダ東岸の三十一フィートの小型スクーナー「ハッピー・アドベンチャー」号をめぐる奇想天外なユーモア小説。とはいえ、海や船をめぐる描写は正確で秀逸。
二本マストの木造帆船・海神丸は正月前の航海で暴風雨に遭遇し、大西風のため冬の太平洋に押し流されて漂流するはめに。四人の乗組員の極限状況における人間ドラマ。実際にあった海難事故に取材したとされる古典的作品。
人種も国籍も異なる十六人の男女が乗り組んだ全長二十六メートル、二本マストの帆船による世界周航の航海と、その過程で連続して起きた不吉な出来事と殺人事件。生存者をさばく法廷での証言による陳述で物語が描かれていく。
戦国時代を背景に、瀬戸内海賊の血をひく呼子笛太郎の壮大な海をめぐる物語。瀬戸内海や九州から朝鮮半島、中国大陸、さらにはタイ・シャム湾までを舞台に展開される海賊の一代記。
ここからは、海洋冒険小説では定番の大英帝国海軍の将校ものを、いくつかご紹介
ナポレオンと戦争中の英海軍・艦長ホーンブロワーを主人公とする全十巻の物語。海洋冒険小説の代名詞ともなっている。特に第5巻『パナマの死闘』は木造帆船同志の壮絶な戦いで、映画化もされている。
ホーンブロワーと並び称される海洋冒険小説のシリーズ。こちらもやはり英国海軍の軍人ボライソーが主人公の長編シリーズ。原作では時代が前後しているが、邦訳では主人公の成長に合わせて刊行されている。
主人公のニコラス・ラミジは英国貴族で、ネルソン提督時代の帆走フリゲート艦シベラ号の若手将校。父親はかつての提督で汚名を着せられて失脚しており、自国の海軍内に敵がいるというのが他とひと味違うロングランシリーズ。
貴族など門閥が幅をきかせる英海軍で、そうした後ろ盾もないまま、苦悩しつつも誠実に道を切り開き、最後にはナイトに叙せられるまでのリチャード・デランシーの物語。全六巻のシリーズ。
英仏が海の覇権を争っていたナポレオン時代の大英帝国海軍士官、ジャック・オーブリーが主人公。軍医との友情に加えて、帆船の構造や船内の生活が詳細に描かれているのが他のシリーズとは違うところ。