米窪太刀雄(よねくぼ たちお)著
夏目漱石も激賞した商船学校の練習帆船・大成丸の世界周航記。
若々しさにあふれた商船学校生による異色の帆船航海記が現代の言葉で復活(連載の第139回)。
ブラジル滞在編は今回で終了し、次回(1月1日)から南大西洋、インド洋、再び太平洋へ、という後半の航海が開始されます。
八、移民の逃亡と地方気質
前に述べた第一の種類の仕事に従事する労働者が、毎朝コーヒー農園の代表者の点検を受けることは前記のごとくであるが、これらの人々は、午後の五時になると、再び整列して朝と同じように点検を受ける。このように朝夕二度の点検を受けるのは、一年の契約期日が終了しないうちに、比較的に収入の少ないこの仕事を見限って、一日に五円、六円になる大工仕事や都市の労働や鉄道工夫などに鞍替(くらが)えをする不届き者が多いためである。 続きを読む