海の冒険の本: ヨットの航海記 その3

小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記の紹介の3です。

絶版になったものや電子書籍として復活してきたものなど、さまざまですが、本の一生も人の一生と同じで、思いがけない出会いや予想もできなかった展開になることもあります。レースの参戦記もあれば、のんびり沿岸航海の旅もあり、ヨーロッパの運河を旅する本もあります。

入手困難なものほど、手に入れたときの喜びも多くなります。
図書館や古書店めぐりという「本の海での冒険」を楽しみましょう。

  • 『オールドヨットマンのソロ航海記』 竹内秀馬著、成山堂書店
  • 『オケラ五世優勝す—世界一周単独ヨットレース航海記』 多田雄幸著、文藝春秋社
  • 『ドリーマー号最後の旅』 田中憲一著、丸善
  • 『ロマンチック・チャレンジ』 フランシス・チチェスター著、筑摩書房
  • 『大西洋ひとりぼっち』 フランシス・チチェスター著、筑摩書房(現代世界ノンフィクション全集20)
  • 『嵐と凪と太陽』 フランシス・チチェスター著、新潮社
  • 『奥様、もやいをどうぞ─ヨット「アトリエ三世」の世界一周航海』 塚田いづみ著、舵社
  • 『太平洋一直線』 戸塚宏著、オーシャンライフ社
  • 『地球少女エリカ—世界1周ヨットの旅』 長江裕明著、朝日新聞社
  • 『犬と私の太平洋』 牛島龍介著、朝日新聞社
  • 『彷徨の彼方』 西山隆著、自費出版
  • 『チタ物語—外洋ヨットに青春を燃やしたチタ・グループの足跡』 丹羽徳子著、舵社
  • 『スハイリ号の孤独な冒険』 R.ノックス=ジョンストン著、草思社
  • 『風と海と仲間たち シーガル号世界一周航海記』 野村輝之著、北海道新聞社
  • 『春一番の航海』 野本謙作著、舵社
  • 『貿易風を突っ走れ!—シルバー世代のおっかなびっくり冒険野郎』 羽山康夫著、ネコ・パブリッシング
  • 『太平洋にかけた青春』 東山洋一著、舵社
  • 『希望号の大冒険』 藤村正人著、舵社
  • 『ぽっぺん先生と笑うカモメ号』 舟橋克彦著、岩波少年文庫
  • 『父と子』 デイビッド・ヘイズ/ダニエル・ヘイズ著、角川春樹事務所
  • 『青春夢航海 今給黎教子とヨット「海連」世界一周』 星島洋二著、共同通信社
  • 『トリとネコと無風先生の航海—日本ヨット紀行』 松永義弘著 高橋唯美絵、あかね書房
  • 『見直しへの旅—ヨット・テケ三世、文明から原始への航海記』 松村賢治著、PHP研究所
  • 『70歳・太平洋処女航海』 村田和雄著、エイバックズーム
  • 『太平洋は学校だ—家族4人ヨット太平洋一周3年2カ月の記録』 山下健一著、新風舎
  • 『アイスバード号航海記』 デビッド・ルイス著、立風書房
  • 『ふたりの太平洋』 ハル・ロス著、海文堂
  • 『ホーン岬への航海』 ハル・ロス著、海文堂出版
  • 『トモよ、生命の海を渡れ』 渡辺郁男・ヤヨミ著、大和書房
  • 『ボヘミアン世界周航記:社長職を捨ててヨット一人旅』 渡辺起世他著、三河湾ヨット倶楽部

堀江謙一さんの著作については別途まとめてありますので、こちらをご覧ください。

83歳で太平洋横断に成功した堀江謙一さんの本

ヨーロッパをカヌーで旅する 63 :マクレガーの伝説の航海記

ジョン・マクレガー著

現代のカヤックの原型となった(帆走も可能な)ロブ・ロイ・カヌーの提唱者で、自身も実際にヨーロッパや中東の河川を航海し伝説の人となったジョン・マクレガーの航海記の本邦初訳(連載の第63回)
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うれしい驚きだったが、この運河には、はっきりした流れがあった。右手の方に一時間ほど、距離にして二マイルくらい漕いでみた。水路の幅はわずか十二フィート(約3.6メートル)そこそこだったが、水は透明だし水深もあったので楽といえば楽だった。数マイル進んだところに、跳ね橋があった。この橋の高さは水面から一フィートもない。機械式になっていて、橋の跳ね上げ操作のために係の男がやってきた。どうやって通過させようか思案している様子だった。ぼくはカヌーを降りて橋を超えた。彼が橋の下を通してカヌーを押し出してくれたので、橋の反対側でまた乗りこんだ。この橋の下をくぐった舟は、疑いもなくぼくのカヌーが最初だろう。とはいえ、これまでドナウ川では何度か非常に低い橋をくぐったことはある。なかには、水面から二インチもないところもあった。そういうときはカヌーを引っ張り上げて橋を超えてきた。橋がそんなに低いのなら洪水のときはどうするのだろうと疑問に思うかもしれない。なに、増水した水は橋を乗りこえて流れていくだけだ。状況によっては、水位の上昇に応じて橋の踏み板を取り外してしまうこともある。そういうときに徒歩で旅行している者が川を渡ろうとやってきたとしても、肝心の橋がなくなっているので立往生してしまうことになる。

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ヨーロッパをカヌーで旅する 62:マクレガーの伝説の航海記

ジョン・マクレガー著

現代のカヤックの原型となった(帆走も可能な)ロブ・ロイ・カヌーの提唱者で、自身も実際にヨーロッパや中東の河川を航海し伝説の人となったジョン・マクレガーの航海記の本邦初訳(連載の第62回)
今回から第十一章になります。
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第十一章

ライン川はスイスのバーゼルを過ぎると、あらゆる意味で、川の様相を一変させる。ここからは急激に西向きから北へと流れる方向を変え、川沿いの風景も、高い土手のある斜面から、数多くの川が流れこむ幅の広い水系となり、無数の中洲が入り組んだ状態で、両側に果てしなく続く屏風(びょうぶ)のような二つの山脈にはさまれた広大な谷を、前方へ、北へ、海へと流れていく。ここからは、どの方向にも新しくスタートを切ることができる。ぼくはこの段階ではまだどのコースを進むか決めていなかった。ソーヌ川やドゥー川経由でローヌ川まで行って、そこからマルセイユまで南下し、さらに地中海沿岸の街道にそって進み、ジェノアでカヌーを売ってしまうか、あるいは──今となっては愛着が湧いて別れがたいロブ・ロイ・カヌーを売却せずにすむ、もっとましな代替案はないか──となれば、フランスを通って元のコースを引き返すしかあるまいが。

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