ジョン・マクレガー著
現代のカヤックの原型となった(帆走も可能な)ロブ・ロイ・カヌーの提唱者で、自身も実際にヨーロッパや中東の河川を航海し伝説の人となったジョン・マクレガーの航海記の本邦初訳(連載の第58回)
ぼくがカヌーをつないだ地点から、通過可能と思われる中央付近の水路に直接向かうのは無理だった。もっと上流からじゃないと駄目なので、そこまでカヌーを引っ張っていくしかない。浅瀬をわたり、でこぼこした川縁に沿って、渡渉したり牽引したり、悪戦苦闘しながら、やっと半マイルほど川をさかのぼった。カヌーに乗って急流を横切って川の中央付近の水路まで到達できそうな場所に、なんとかたどりついた。とはいえ、そこから川を横切るように進んでも、流れが速いので、カヌーは波が荒れ狂っている方に横向きのまま押し流されていきかねない。