ジョン・マクレガー著
現代のカヤックの原型となった(帆走も可能な)ロブ・ロイ・カヌーの提唱者で、自身も実際にヨーロッパや中東の河川を航海し伝説の人となったジョン・マクレガーの航海記の本邦初訳(連載の第57回)
第十章
カヌーをまた荷車に載せ、再び通りを抜けて滝の下の地点まで運んだ。数時間休憩した後、ロ・ブロイ・カヌーを水面に浮かべると、カヌーはまた生き返ったようになった。周囲のすべてがすばらしかった。川には十分な深さがあり、空はどこまでも高く、ぼくは幸福感に満たされた。まもなく、遠くで波が砕け散る鈍い音がまた聞こえ始めた。近づくにつれて、その音が大きくなってくる。無視するわけにはいかない。ラインフェルデンの急流までやってきたのだ。