米窪太刀雄(よねくぼ たちお)著
夏目漱石も激賞した商船学校の練習帆船・大成丸の世界周航記。
若々しさにあふれた商船学校生による異色の帆船航海記が現代の言葉で復活(連載の第68回)
高きは例のテーブルマウンテンから、低きは例のユニオン・キャッスルの定期船に至るまで、港内の形象は皆灰青色(はいせいしょく)に黒ずんでいるが、その中に、目も覚めるような雪白色の船体を誇示した練習船が、クリーム色のヤードを品よく上に高くそろえた頂きに血液のごとく赤き羅針章旗(コンパスマーク)をなびかせて入港する。