ヨーロッパをカヌーで旅する 68:マクレガーの伝説の航海記

ジョン・マクレガー著

現代のカヤックの原型となった(帆走も可能な)ロブ・ロイ・カヌーの提唱者で、自身も実際にヨーロッパや中東の河川を航海し伝説の人となったジョン・マクレガーの航海記の本邦初訳(連載の第68回)
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鉄道は緑の山々を縫って曲がりくねりながら走っている。あちこちの村に「工場」があり、夜になると、無数ともいえる窓の光で山の中腹の斜面が照らし出される。こうした工場群は、女性が大好きな──買うのはその夫たちだが──流行のフランス製のショールやスカーフを作り出しているファッション業界の拠点でもあるのだ。ここで図案化されたデザインは、一流の名人の手になる油彩画のように高額で、フランスでは、一つの図案を彫るごとに、イギリスの製造業者が支払う金額の三倍のお金が支払われているらしい。

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