ヨット乗りが航海に持参すべき25の必需品

ヨットや帆船、ボートやカヌーに乗る場合、船の装備品とは別に、万一に備えて自分で用意していた方がよいものがあります。

“25 things every sailor needs” (船乗り必携の25の品物)
からご紹介しましょう。

これはランス・ゲトラーというアメリカでヨットの回航を生業の一つにしているヨット乗りが自分の体験に基づいてまとめたリストで、アマゾンの電子書籍として入手できます。
※ 書籍といっても、パンフレットを少し詳しくしたような小冊子で、英語も平易なので、興味のある方は手にとってお読みください。

想定される航海に必要な装備や飲食物は船に搭載してあることが前提です。

依頼を受けてヨットやボートを指定された別の国や港まで回航する際に必ず持ち込む「私物」のリストです。著者は全部で5キロ以内でバックパック1個におさまると述べています(下の写真)。


(source: photo from “25 things every sailor needs”)

むろん、自分の環境に合わせて適当にアレンジすべきですよ。
そのリストを具体的に見ていきましょう。
著者ランス・ゲトラーの意見を参考に、海洋冒険文庫として補足してあります。

1. ナイフ
常時携帯し片手で扱える折りたたみ式のナイフ。
いざという時、ロープを切るには刃の一部がノコギリ状になっているものがよい。
マルチツールとは別。単機能の専用ツールの方が使い勝手はよい。

2. 偏光メガネ
海上は紫外線が強いので第一義は目の保護。サングラスでもよいが、
海上のものを明確に見極めるには偏光メガネがベター。
予算の許す範囲で高品質のものが、長い目で見れば安上がり。

3. 光量切り替え可能なヘッドライト
照明器具としては、懐中電灯より両手の使えるヘッドライトがおすすめ。
夜間用に赤色があればなおよい。
従来の電球よりはLEDのライトで、予備の電池も。

4. マルチツール
定番のアウトドア必需品で、常に1個は持っていたい。
できれば、ナイフ式ではなく、先端が細いプライヤータイプがおすすめ。
ヨットでよく使われるシャックルキーの代用としても便利。

5. 救急セット
船には救急箱が装備されているはずなので、それとは別に、自分専用として。
小型のハサミや防水のバンドエイド、切り傷ややけどの外用薬等。
市販の小型キットをベースに、必要に応じて足したり引いたりすればよいでしょう。

6. ダクトテープ
いわゆるガムテープのような粘着テープ。
一巻きはいらないので、少量を巻いて持っていると、補修などでなにかと重宝。
最近はホームセンターなどにも強力な銀色のテープが売られてます。

7. スマホ
海図や潮汐表などアプリも豊富。
陸が見える沿岸航海では無線機の代わりにもなるし、何をするにも必需品。
充電器やコードも忘れずに。

8. ジップロックの袋
スマホや財布を含めて、濡らしては困るあらゆるものを入れておくのに必須。
この用途では大は小を兼ねますよ。
衣服用にはまた別の防水バッグを(後述)。

9. 結束バンド
インシュロックともいい、ホームセンターや百均にも普通に売られています。
用途は多く、大小各種をそろえておくと何かと重宝。
少し値段は高くなるものの、何度も繰り返し使用できるものもあります。

10. 雑索(細くて短いひも)
長さ別に色分けした3種類のひも(0.6m、1.2m、1.8m)を4本ずつ。
「長いひもを一巻き」よりは、実際の用途を思い浮かべて長さを決めておく。
一般に2mより長いひもが必要になることはあまりない(そもそも、ヨットにはロープが積んである)。

11. 水筒
落としても割れず、転がっても音も静かなプラスチックの水筒。
金属製は重く、気温によっては外側が結露する。
小型の船は揺れも大きいので、フタだけ飛んでいかないタイプがよい。

12. 日焼け止めとリップクリーム
SPF(日焼け防止指数)35以上。
海上では太陽光線はばかにできない。1日に2回塗る。泳いだら、その都度塗る。
紫外線で唇の皮がむけることもよくあるので、リップクリームも必須。

13. 軽食
短時間のつもりでもセーリングは意外に長くなることが多い。
エネルギー補給用にバーやビーフジャーキーなど傷まないもの。
いわゆるカロリーメイトのような栄養補給用の保存食品。

14. プラスチック製の洗濯バサミ
衣服やタオルを干すためのプラスチック製の洗濯ばさみ。
海水では金属はサビるのが早く、布地に染みがつきやすい。
洗濯ばさみは他にもいろんな用途で活躍。

15. 裁縫セットとハサミ
普通の布用の針と糸プラス帆の補修用の丈夫な針と糸。
カッター、小さな布用巻き尺も。
意外に必要になることがあるので、小さな袋に常時入れておく。

16. ネクスケア・スキン・クラック・ケア
液体の「塗る絆創膏」。指先の傷などにハケで塗って保護膜を作る。
アウトドアでは知る人ぞ知る製品。
日本では(液体ではない)ネクスケア保護テープとして売られていることが多い。

17. 蚊除け
セーリングに適した場所には、なぜか蚊が多い。
いろいろなタイプのものをお好みで。

18. 雨具
時期や場所によって重装備のものから簡易なものまで、
必要に応じて使い分け。
濡れてもすぐ乾く下着や着替えも必要。

19. 電子ブックリーダーまたは iPad
こちらは人によっては意見がわかれるでしょうか。
タブレットにゲームや電子書籍を入れておけば、
荷物にはならず暇つぶしにはなります。

20. 防水バッグ
下着など濡らしたくない物をいれておく、
密閉可能な大きめの袋。
バッグインバッグで、小分けして入れておくと取り出しやすい。

21. ライター
タバコを吸わない人でも、火をおこす必要がある場合もある。
1個持っておいても邪魔にはならない。

22. 腕時計
スマホで時間がわかるので腕時計はしない人も増えているとか。
とはいえ、スマホは濡れたらアウトなので海上では防水の腕時計は必需品。
夜間でも時間がわかるものがよい。

23. 靴
予備の濡れてもいい靴。非常用。
古くてもよいので使い古しのスニーカーなど。
はだしやサンダルで海岸の岩場は歩けない。

24. ウェットティッシュ
海で泳いだ後やシャワーがない環境で、身体を拭くため。
塩気をとり、さっぱりする。

25. 緊急時の連絡先リスト
自分の連絡先、最寄りの海上保安庁の支署と健康保険証や身分証明書のコピーなど。

いかがでしょうか。

海洋冒険文庫としては、これに落水防止のハーネスとテザー(ロープ)を追加したいですね。

左がテザー。ハーネスは中央(上半身用)と右端(腰回り)。
マストに上るときは上半身用のハーネス、バウでの作業やレースでは登山用の腰回りにつけるハーネスと使い分けたりします。ハーネスはどちらか片方でよい。

自分の状況にあわせて、上手に取捨選択し、航海をお楽しみください。