スティーヴンソンの欧州カヌー紀行

ジャック・ロンドンの『スナーク号の航海』に続いて、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの『欧州カヌー紀行』(新訳)の連載を開始します(6月4日から毎週日曜日)。

R.L.スティーヴンソンは『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』などの作品で知られる十九世紀イギリスの作家で、晩年(というか、四十四歳で死亡しているので短すぎる人生の後半)は療養をかねて南太平洋のサモアに移り住み、その地で没しました。

この紀行は二十代の若きスティーヴンソンが友人と二人で大陸(ヨーロッパ)にカヌーを持ちこんで旅した記録です。

カヌーといっても、セーリングカヌーです。一人乗りですが、一人では持ち運べない重さがあるようなので、現代の感覚ではディンギー(機関や船室のない小型ヨット)に近いかもしれません。

スティーヴンソンの母国のイギリスもそうですが、ヨーロッパは船が航行できる大小の川とそれを結ぶ水路が縦横に張り巡らされていて、ほとんどすべての地域を国境をこえて航行することができます。高低差があってもロック(水門)を利用すれば低地から高地へ行くことも可能です!

本作には故吉田健一の名訳(岩波文庫)がありますが、現代の若い人々には旧字体を含めてとっつきにくい印象があるため、現代感覚の新訳でお届けします。