実際に海に出るにつれて航海の専門用語が増えてきました。
番外編1として、簡単に整理しておきましょう。
スナーク号は水線長45フィートのヨットですが、現代のヨットと少し違っているところがあります。下の図をご覧ください(図をクリックすると拡大します)。
現代の一本マストの一般的なヨット(スループ)は、マストの前と後ろ側に一枚ずつセールがあります。それぞれジブ(前帆)とメインセール(主帆)と呼ばれています。
メインセールは定規の直角三角形のような形で、前縁と下縁がそれぞれマストとブームに固定されています(このタイプをマルコーニリグとかバミューダリグ)と呼びます。
スナーク号は船尾に低いところに二本目のマスト(ミズンマスト)を持つヨール型のヨットです。
前帆は二枚以上あり、一番前がフライングジブになります。
メインマストの形状は三角定規ではなく、上縁にも帆桁(ガフ)を持つ四角形です。
ストームトライスルは荒天用の小さくて頑丈な特別な帆で、通常は使用しません。
セールの数が多いと、風を受けるセールエリア(帆面積)を変えずに一枚一枚のセールの大きさを小さくできるので、取り扱いが楽になりますが、それぞれのバランスをとって上手に帆走させるには経験が必要になってきます。
現代のマルコーニリグのメインセールは高さがどんどん高くなる傾向がありますが、これは、一般にセールの縦横の比率(アスペクト比)が大きいほど風上への切りあがり性能がよくなるためです。
レース艇では、同じ前帆でも大きくて軽いジェノアやジェネカー、風船のような追い風用のスピンネーカーなども使用されますが、煩雑になるので、ここでは割愛します。
次に、荒天対策としてのヒーブツーについて。
ヒーブツーとは要するに停船させることですが、ヨットでは荒天対策としてよく用いられます。デイセーリングなどで、ちょっと一休みというときにも便利です。
図のように、ジブを裏帆にして、メインセールはシバーしない程度に出しておきます。舵は風上側に上る位置に(ティラーの場合は風下側に固定、ラットの場合は風上側に回して固定)しておくと、船首が風を斜め前から受ける形で停船します。
船のタイプによって癖があり反応が違ってくるので、最初のうちは試行錯誤が必要でしょうが、うまく安定すれば、急に風が弱くなったように感じられて、船は波が来るたびにゆっくり上下するだけになります。