帆船やヨットで必須のロープワーク10選 (2/2)

帆船やヨットは大小様々なロープにあふれています。
代表的な結び方をマスターしておきましょう。

同じ用途で何種類も結び方があります。また、同じ名前なのに、微妙に違っている場合もあります。

うろおぼえの知識の数を増やすより、応用のきく少数の結び方をしっかりマスターするほうがはるかに大切です。

今回は、後半の5つの結び方です。

ロープの途中に枝輪をつける:プルージックノット(Prusik knot)

プルージックノットは輪にしたロープを使います。用途に応じて、太さや長さを決めてください。左はマストに上るときの命綱のバックアップ用(3m)。

テントの張り綱に調理器具や洗濯物を吊すときにも使えて便利です。

輪を作るには、ここでは一重のテグス結びを使っています(テグス結びについては、このページの最後にリンクがあります)。

ステンレス管を結びつける対象(ロープやマストなど)とします。

次の図のように、下側(手前)のロープをマスト等に巻いてに輪の中に入れます。

こんな感じ。

これをもう1回。

2回入れたところ。消防関係では2回のことが多いですが、登山では3回が一般的かな。

自分の体重を支えなければならない場合は3回、品物を吊すだけなら2回でよいでしょう。

 

これで下側(手前)を引いて締めると、完成。

図の左右(上下)に引こうとする力(荷重)がかかっても結び目はずり落ちません。結び目を緩めると、移動できます。

ロープの途中に輪をつける方法としてはバタフライノットなどもありますが、輪の位置を変えにくいので、キャンプなどでも、こちらの方が利用価値は高いですね。

船特有:錨結び(アンカーベンド、anchor bend(anchor knot、anchor hitchという場合もあります)

船に錨(アンカー)をつけるときの結び方。ステンレス管をアンカーのリングとみなしてください。軽く2回巻きつけます。
先端を巻いた内側に通します。

短い方を長いロープの上からかわして輪の内側に通します。

きっちり締めておきます。
短い方をもう1回、長いロープに巻いて中に入れて締めたらできあがり
ヨットなどでは、さらに舫い結びをし、余った先端を固定しておくことが多いですね。

図の輪は見やすいようにゆるくしてあります。

船特有:クリート結び(クリート・ヒッチ、cleet hitch)

クリートは、左図のような、小型のプレジャーボートによくある足が2本ついたT字形の係留装置。

2本の足の周囲にぐるっと1回巻きます。

1周したら、図のように斜めに8の字を描くように回します。
先端に輪をつくって、クリートの反対側の先にかぶせます。

※短いロープの端が交差するロープの下になるようにします。

軽く締めたら完成。

どんな力で引いても外れません。

台風でクリートがデッキの台座ごとちぎりとられたのを見たことがありますが、ロープはクリートについたままでした。

※注意

最初のロープのかけかたですが、できるだけ長手方向(上の青い矢印の方向)に力がかかるようにしましょう。

長さを調節: キャンプで便利な自在結び(トートライン・ヒッチ、Taut-line hitch)

こちらはテントの張り綱の調整に便利な結び方です。

ステンレス管がペグの輪だとみなしてください。

輪に1回巻いてから、テンションをかけて引きながら長いロープに1回に巻きます(結び目をつくるわけではない)。

そこからさらに、張っているロープを緩めないようにしながら、少し離れた先に短い方のロープを2回(内側に)巻きつけます。
さらに、こんどはその外側(図で下側)にもう1回巻きつけます。

これで完成。

結び目を動かすことで、張り綱のテンションを調節可能です。

荷物を固定: 荷物の固定に便利な南京結び、トラッカーズヒッチ、Trucker’s hitch

 

トラック輸送でおなじみの荷物をしっかり固定するための南京結び(トラッカーズヒッチ)。原理は単純。
図のレンガが10kgのとき、動滑車(右図の金色)を使うと力は半分の5kgで済む(引く距離は倍になり仕事量は同じ)。というわけで、ロープの輪を滑車として使います。
南京結びと英語のトラッカーズヒッチは似ていて同じ原理を用いていますが、具体的な手順は微妙に違っています。

ここでは実際にやってみて一番簡単で確実と思われる方法を紹介します。

ロープの途中をつまんで3回ほどひねります(右上、1回でも可)。

その輪に、上図のAを差し込みます。

これでできた輪(右の輪)が滑車になります。

ロープの先端をトラックなどのフック(金色の円で代用)にかけて、先端をさきほどの輪に通します。
これで先端を赤の矢印の方向に引くと、自分の力の2倍の力で引きしめることができます。

テグス結びについては、前回の説明を参照してください。

帆船やヨットで必須のロープワーク10選 (1/2) | 海洋冒険文庫 (kaiyoboken.com)

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