帆船やヨットは大小さまざまなロープにあふれています。
代表的な結び方をマスターしておきましょう。
※この記事について、コメントをいただきました。
必要があれば説明を多少修正するかもしれません。
以下はあくまで参考としてお読みください(2024/07/18 更新)。
必要があれば説明を多少修正するかもしれません。
以下はあくまで参考としてお読みください(2024/07/18 更新)。
同じ用途で何種類も結び方があります。また、同じ名前なのに、微妙に違っている場合もあります。
うろおぼえの知識の数を増やすより、応用のきく少数の結び方をしっかりマスターするほうがはるかに大切です。
ここでは、ヨットなどのプレジャーボートや海で役に立つ結び方8つと、キャンプなどでも重宝する結び方2つ、計10個を紹介します。
輪をつくる:舫(もや)い結び(ボーラインノット、 bowline knot)
簡単にできて、力がかかっても楽にほどけるため、「キング・オブ・ノット」とも呼ばれる、船では必須の結び方です。
目をつぶっても、後ろ手でも、別に問題なくできるよ、くらいになっておくと一目おかれる、、、かも。 |
短い方(端に赤いテープ)を長い方に軽く1回まわし、短い方を自分の方に引きます。
同時に、長い方をゆるめにして引かれるまま送り出すようにします。 |
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すると、こんな感じで、短い方がまっすぐ伸びて、長い方に輪ができます。
※図解で長い方にまず指で輪をつくってという説明のものがありますが、テンションのかかった状況でのんびり輪をつくったりしていたら危険です。 実際に船を係留するときは、このやり方の方が早くて確実です。 |
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ちょっと見づらいですが、
前の写真の状態から 短い(赤)ロープを長いロープの下をくぐらせてから輪の中に上から差し込みます。 |
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結び目の前後を持って引き締めておきましょう。
この輪は縮んだり大きくなったりしません。 テンションがかかって引き締められていても、比較的楽にほどくことができます。 |
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端を固定する:巻き結び (クラブヒッチ、clove hitch)
次に、ロープの端を何かに固定するための巻き結びをやってみましょう。
これは拍子抜けするほど簡単で、仮にとめておきたいというときに便利です。
ただし、力が加わると、ほどくのに少し苦労します。
ロープの端を目的のものに軽く1回巻きつけます。
次に、2周目は長いロープの反対側にまわして、短い方の端を内側の輪に通します。 |
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こんな感じ。
で、両端を持って、それぞれ逆方向に引っ張って輪をしめておきます。 |
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これでできあがり。
慣れれば、ほんの数秒でできますよ。 簡単にできて、 簡単には外れません。 |
ロープの端が抜けないようにする:8の字結び(フィギュア・エイト・ノット、figure eight knot)
ロープの端を滑車などに通したとき(ヨットのスピンシート)、ロープがすっぽ抜けないように端に「こぶ」をつくって大きくしておく必要があります。
ごく普通の一重の固結びでもよいのですが、後でほどきにくいので、8の字結びがおすすめです。
まず、こんな具合に短い端を1回長いロープに巻きつけます。
そのまま赤の端を輪の向こう側から手前に向かって差し込めば一重結びですが、8の字結びでは、輪の上(手前側)から向こう(奥)へ差し込みます。 |
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こんな感じ。
できた形が8に似ているので8の字結び(英語でもフィギュア・エイト・ノット)と呼ばれます。 |
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結び目は引き締めておきましょう。
慣れてくれば、右の写真のように、ロープの端ぎりぎりに結び目をつくれるようになります。 |
さて、ここで2本のロープのつなぎ方について、太さが違う場合と同じ場合にわけて説明します。
ただつなぐだけなら、2本のロープの端同志をもやい結びにして輪と輪をつないでもよいし、細いロープだったら2本まとめて8の字結びにしてもよいのですが、ここはもう少しスマートにいきましょう。
大小のロープ二本をつなぐ:二重継ぎ(double sheet bend)
一本(太い方)の先を少し曲げておいて、
もう一本(細い方)をそこに通します。 |
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細いロープを太いロープの外側にまわしてから、左の写真のように細いロープを差し込みます。
これで一重(シングル)のシートベンドのできあがりです。 |
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念のため、もう一回巻いておきましょう。
こんな感じ。 |
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これがダブルシートベンドの完成形。
相当な重量物を牽引してもはずれることはありません。 |
ダブルシートベンドは同じ大きさのロープ同志でも使えますが、ここでは、さらに応用範囲の広い二重テグス結び(フィッシャーマンズノット)も紹介しておきます。
同サイズのロープ二本をつなぐ:二重テグス結び(フィッシャーマンズノット、fisherman’s knot)
2本のロープの端を逆方向に並行にしておいて、一方のロープで一重の固結びを作ります。
これでもよいのですが、念のため(海やアウトドアで迷ったら安全性の高い方を選択)もう1回巻いておきます。 |
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こんな感じ。
二重(ダブル)~と呼ばれるゆえんです。 |
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結び目(右)を軽くしめておいて、
輪に通した方の端で反対側に同じように結び目をつくります。 |
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すると、こんな感じに結び目が2つできて、その間はロープが2本になっています。 | |
2本のロープを反対方向に引っ張ると、
2つの結び目がくっつき、 (ダブル)フィッシャーマンズノットの完成。 |
これは「テグス結び/フィシャーマンズノット」と呼ばれるように、釣り糸をつなぐのに使われる定番の2本の釣り糸のつなぎ方でもあります。
釣り糸は細くてツルツルしているので、2回ではなく5回くらい巻きます。
今回のロープワーク(パート1)は、この基本となる5つです。
パート2では、ロープの途中に枝(輪)をつける「プルージックノット」、ボートやヨットで定番の「錨結び」と「クリート結び」、キャンプで重宝する「自在結び」、荷物の固定に便利な「南京結び(トラッカーズヒッチ)」を紹介します。
結びの研究、実験をしている者です。トップに出ているシートベンドの間違いに気が付いたので立ち寄りました。これは、よく「こうならないように」と解説されている逆向きの形ですので、ご確認を。
他にもありました。「二重テグス結び=Fisherman’s knot」ではないですね。テグス結び=Fisherman’s knot であり、二重テグス結び=Double fisherman’s knot です。トリプルでも何でも、分野によっては登場します。
ついでに言葉の問題をもうひとつ。御存じかもしれませんが、Bowline Knot は英語でボウリンノットと読みます。これは英語の記事でも「ラインではないよ」と注釈が付いたりする、間違いやすい英単語のひとつです。日本では9割の人が間違っている印象ですね。
巻き結びについて「ロープの端を何かに固定するための巻き結び」と説明がありますが、これはぜひ訂正していただきたい(特に日本で多い)間違った説明です。本の著者や解説者にも、これを理解していない人が多々います。巻き結びは基本的に「ロープの中間を結ぶ」ための結びです。特に、支柱のような固い円材、またはそれに類する物が相手の場合は「端を結ぶ」という目的には使えないと思って差し支えありません(信頼性がなく、危険です)。
⇒ 画像の例で「簡単には外れない」と説明も付いていますが、それは「たまたま条件が良かった時にそうなるだけ」であり、この結びが持っている特性、能力とは違います。この場合は、結ぶ相手が(紐の太さに対して)細いという好条件でした。試しに、もっと太い相手に結んでみて下さい(スプレー缶、ワインボトルなど何でもいいです)。かなり弱いか、あるいは結びとして成立しないほど弱いはずです。好条件(→※)でのみ成り立つ事柄は、その結びの説明ではなく、その条件の説明になります。
⇒ 元々この同種には「一方から引く(端を結ぶ)」ための結びと「両方から引く(中間を結ぶ)」結びとが存在し、前者にはGround-line hitch などがありますね。「一方から引く」結びは本線側と末端側で異なる形(非対称)なので見れば判ります。もちろん引く側は決まっており、逆から引けば成り立たない構造です。
逆に、左右対称の構造をしていたら、それは「どちらから引いても同じ」という事であり、一方から引く力に強い結びではない証拠です。つまりClove hitch ですね。ロープの端を結ぶのには適しません。
(※ もうひとつ、代表的な好条件は「少なくとも一方の摩擦が大きい」です。シュロ縄を使ったり、生木の枝に結んだり、一方でも摩擦が大きい場合は、その摩擦に助けられる事があります。また、Clove hitch が様々な結びの「構造の一部」として使われている事からも解りますが、ロープ同士でも(通常は)強力に結びつきますね)
以上、お役に立てば幸いです。
すなば さん、コメントありがとうございます。
この記事は経験のあるヨット乗りの立場から書かれた、「現場の知恵」的なもので、ヨットの世界ではこれが常識だと思っていましたが、ご意見を参考にして検討し、必要があれば修正いたします(しばらくご猶予ください)。
貴重なご意見、ありがとうございました。
海洋冒険文庫 管理人