ヨーロッパをカヌーで旅する 18:マクレガーの伝説の航海記

ジョン・マクレガー著

現代のカヤックの原型となった(帆走も可能な)ロブ・ロイ・カヌーの提唱者で、自身も実際にヨーロッパや中東の河川を航海し伝説の人となったジョン・マクレガーの航海記の本邦初訳(連載の第18回)



それとは別にウルリックというウェイターがいた。腹をすかせた歌い手たちが殺到するのを見込んで、その日だけ「特別に」雇われていた。彼は人見知りで、村の宿屋で働いた経験があるだけの若者だ。「ドナウエッシンゲンのポスト」といえば、職場としてはおしゃれで品格のあるところだとされている。彼はフランス語も勉強していて、ちょっと涙もろいので、ぼくは素っ気ないほど実用的な本を彼にやった。すると、ぼくがカヌーを漕いで川を下るときに自分をカヌーに乗せて家まで運んでいってくれないかと頼んできた! こういう単純で率直な依頼を受けたりしたら、こっちも本当に楽しくなってくる。ぼくらがずっと浅いところばかりを航行するのだとしたら、こんな連れがいても楽しいだろう。

ドナウ川の実際の水源については、ナイル川の水源の場合と同じく諸説ある。

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